車両技術

車両技術

機関車などにみられる「動力集中方式」(無動力の客車を牽引する方式で、ヨーロッパで多く採用されているプッシュプル方式もこの形式に属する)ではなく、動力を編成各車両に分散させる「動力分散方式」(電車方式)を用いて、加減速能力の向上・軽量化・軌道への負荷軽減を図っている。
ただし、車両に装備されるモーター等の電装部品が増える結果、初期コスト・メンテナンスコストが高くなるため、日本国外への販売[2]では動力集中式に比して不利になることが短所であった。
しかし昨今ではVVVFインバータ制御の採用による誘導電動機の導入や、純電気ブレーキの実用化により高速域からのブレーキ面で、付随客車に機械式ブレーキや渦電流ブレーキなど力行時に不要な機器を搭載する動力集中方式に対する優位性が生じつつある(新世代のTGVやICEも動力分散方式に移行している事例がある)。
日本は山岳国であり、他国に比して地盤が弱い傾向がある。
動力集中方式では動力車の重量に対処するため、動力分散方式より軌道・路盤を強化する必要があり、軌道の建設・整備面でも動力分散方式が有利となる。
編成全体で大出力を確保し、粘着重量を有効に活用するため、編成内における電動車(動力車)の比率を極力多くする。
東海道・山陽新幹線の初代車両0系や、東北・上越新幹線開業時の車両である200系は全車が電動車であった。
また東海道・山陽新幹線で使用されている500系は最高速度300km/hの高速運転を行うために、九州新幹線の800系は急勾配を走行するために、全車が電動車となっている。
山陽新幹線で500系と同じ300km/h運転を行うN700系電車は、空転及び滑走を防止する制御能力が向上したため、付随車が組み込まれている。
付随車のブレーキ力は通常は電動車がすべて負担し、回生ブレーキの失効、非常制動といった異常時や、停止状態を保持するときのみブレーキが動作する。
車両は、高速運転時にトンネルに進入するなどの気圧変動による居住性の低下を防ぐために気密構造となっている。
運転台構造ではマスコンとブレーキの配置が在来線通勤電車とは左右逆の配置になっている。
これは新幹線ではブレーキよりも、マスコンの使用が多いため、多くの人の利き手である右側にマスコンを配置したためだと言われるが、諸説がある。
速度メーターは200km/h以上の運転に対応するため、在来線のような丸型式は基本的に無く、初期の車両は横線式、中期の車両は途中まで斜線その後横線、その右下には細かな速度が表示されるデジタルタイプ、そして最近の車両に関してはグラスコクピットを採用しているものもある[4]。

列車防護装置

列車防護装置

高速走行を行うため、在来線と同じ信号炎管や軌道短絡器による列車防護(他の列車を停止させること)では他の列車が停止しきれない可能性が高まる。
そのため、緊急時に他の列車を迅速に停止させられるように在来線とは異なる列車防護の方式が採られている。
車両側には保護接地スイッチ(EGS)が装備され、緊急時には乗務員が運転台の「保護接地入スイッチ」を押すことにより、他の列車を自動的に停止させることができる。
線路側には列車防護スイッチが、本線上には250m間隔、ホーム上には50m間隔で設置され、これを押すことでATC回路を停止信号にすることができる。
列車防護無線装置は車両には受信機のみが装備され、発信器は保線作業中に線路を支障させた場合、保安方式変更などでATCを使用してない列車を停止するため保線係員が携帯している。

他線区への直通

ミニ新幹線と呼ばれる区間(山形新幹線の福島 - 新庄間、秋田新幹線の盛岡 - 秋田間)は、在来線の線路を標準軌に改軌改良し、新幹線直行特急として直通乗り入れを行っているもので、法律や設備などの上では正式な新幹線路線ではなく、あくまで在来線である(これらの路線を新幹線と呼ぶのは、利便性やイメージ戦略上の理由である)。
そのため、最高速度は一般の在来線と同じく130km/h程度に制限されている。
とは言うものの、在来線ではもっとも速い部類にあたる速度である。
また、このような運転形態を、新幹線と在来線を直通することから「新在直通(運転)」と呼ぶことがある。
在来線を改軌せずに新幹線への乗り入れを可能にするフリーゲージトレインの開発が鉄道総合技術研究所により進められているが、現在のところ実用化の時期は未定である。

他線区への直通

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